「フェル(ド)スパー」とは日本名でいうと「長石」という鉱物グループです。
それもかなり大きなグループです。
長石は地殻を構成している主要元素である酸素(O)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)で構成されているアルミニウムケイ酸塩鉱物です。
従って、地上に非常に沢山あります。
長石の化学式は XY4O8 となります。
こう書くといかにも簡単なのですが、この「X」や「Y」にいろいろな元素が入ってきて複雑な事になります。
今回は少し大まかに一般的な部分だけを取り上げて考えてみます。
ここで、「X」に入るものには
カリウム(K)
ナトリウム(Na)
カルシウム(Ca)
バリウム(Ba)
「Y」には
ケイ素(Si)
アルミニウム(Al)
が入ります。
そして、それぞれを当てはめてみると次の四つの端成分が現れます。
① KAlSi3O8 正長石(カリウム長石/カリ長石)
② NaAlSi3O8 曹長石(ナトリウム長石/アルバイト)
③ CaAl2Si2O8 灰長石(カルシウム長石/アノーサイト)
④ BaAl2Si2O8 重土長石(バリウム長石/セルシアン)
更に、この中で市場に出ている宝石に関係するものに絞り、①~③の長石について考えます。
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長石はこの①~③がいろいろ混じり合って沢山の種類の宝石が存在します。(この混じり合ったものを「固溶体」と言います。)
混じり合うといっても三者の違いは赤文字の部分だけなので、赤文字が混じり合います。
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ちょっと前後しますが、まず②と③が混ざっているものから。
②と③は簡単に自由に混ざり合うことができますので、混ざり具合によっていろいろな種類(変種)が存在します。
それらをまとめて「斜長石(プラシオクレース)系列」といいます。
A.(②100-90%)+(③0-10%)・・・・アルバイト(曹長石):宝石としては「ペリステライト」。←最近市場に復活。
B.(②90-70%)+(③10-30%)・・・・オリゴクレース(曹灰長石):「サンストーン」が有名です。
C.(②70-50%)+(③30-50%)・・・・アンデシン(中性長石):宝石はそのまま「アンデシン」
D.(②50-30%)+(③50-70%)・・・・ラブラドーライト(灰曹長石):こちらもそのまま「ラブラドーライト」
E.(②30-10%)+(③70-90%)・・・・バイトーナイト(亜灰長石):「バーナイト」←あまり市場に無い。
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次に①と②が混ざり合ったもの(これらをアルカリ長石系列といいます)
しかしながら、①と②は②と③のようには簡単に混ざり合いません。
自由に混ざり合うには660℃以上の条件が必要との事です。例え、高温状態で一度混ざっても、温度が下がると分離してしまうそうです。
従って、斜長石系列のように含有率で区別することが出来ないので、性質、結晶系やその他の特徴で分類しているようです。
大まかに分けると、
A.オーソクレース:宝石としてはオーソクレースやムーンストーン。
B.アデュラリア:成分の95%以上がオーソクレースで、残りがサニディン他。宝石ではあまり市場には無い。
C.サニディン:あまり市場には無い。
D.マイクロクリン(マイクロクライン):主成分は①(オーソクレース:正長石)だが、結晶系が③(アルバイト:曹長石)。宝石としては「アマゾナイト」が有名。
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最後に、①と③ですが、これはほとんど混ざらないようです。
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ここで、追加なのですが、今まで注目していなかった④について最近情報が入りました。
①(正長石)と④(重土長石)の固溶体(混ざりもの)の「ハイアロフェロン」というものがあるそうです。宝石として流通するようなものではないようですが、マニアの方には面白い石なのかも知れませんね。
このように、長石グループはいろいろな宝石が存在します。
もしかしたら今後も新しいものが出てくるかも知れません。
2012-07-09 13:11